がん患者支援活動について

【はじまり】

「プロのミュージシャンになる」という夢が千葉大学在学中の4年間で叶わず、家族会議の結果千葉大学大学院社会科学研究科経済学専攻に進学することになりました。そこで日本の社会保障政策研究の第一人者である広井良典教授と出逢ったことで僕の音楽人生は大きく変わりました。

 

【きっかけ】

2006年7月2日、「広井先生の教え子にミュージシャンがいるらしい」と聞きつけたがんの患者会からの依頼でイベントに出演しました。その時に講師として登壇したMOMOさんという末期がんと闘っていた女性の「私あと半年で死んじゃうんです。でも泣かないって決めたんです。」という力強い言葉に衝撃を受け、「きみに読む物語」という曲を作りました。

 

https://www.omitaka.com/images/media/20070921asahi.jpg

 

【楽曲1】きみに読む物語

youtu.be

 

リレー・フォー・ライフ

楽曲「きみに読む物語」を作ったことでMOMOさんが生前に中心メンバーとして活躍した、日本対がん協会主催の「リレー・フォー・ライフ・ジャパン」に「TEAM MOMO」の一員として参加し、会場のステージで歌うようになりました。2008年9月に新横浜で開催された神奈川大会のステージを皮切りに、高知、静岡(御殿場)、広島(尾道)、福岡、茨城(つくば)、北海道(苫小牧)など各地の大会に出演させていただきました。

2010年からは地元千葉でも開催されるようになり、千葉大会には実行委員の1人として参加し、テーマソング「希望の歌」を当時サバイバーだった安藤由加里さんと共に制作しました。

 

https://www.omitaka.com/images/media/20100919yomiurishinbun.jpg

 

【楽曲2】希望の歌

youtu.be

 

【ホスピタルライブ】

きみに読む物語」を聞いた高知県在住の女性から「病院で歌ってくれないか」という依頼をもらったことがきっかけで2007年12月から全国の病院・福祉施設に歌と元気を届けるという主旨の「歌う坂本龍馬プロジェクト ホスピタルライブ」がスタートしました。気がつけば13年間で全国全県を回り、のべ3000近くの施設を訪問し、生のライブを届けました。その活動が認められ、2009年から現在も高知県観光特使を務めています。今では僕の音楽活動の代名詞となっている「ホスピタルライブ」。この活動も広井良典教授と出逢い、MOMOさんと出逢い、「きみに読む物語」を作らなかったら開始していないであろうと考えると、出逢いが人生を変えて行くのだということを強く感じます。

 

【楽曲制作依頼】

また、2008年に「きみに読む物語」を聞いた千葉県在住の男性の方から「妻が生きた証を残したい」と楽曲制作の依頼を受けました。ご本人とお会いして直にその思いを聞いたとき、「今後もシンガーソングライターとして生きて行くのであれば、この想いを無下にするわけにはいかない」と感じ「櫻舞い散る季節」という楽曲を制作しました。

 

https://www.omitaka.com/images/media/20080915chibanippo.jpg

 

【楽曲3】櫻舞い散る季節

youtu.be

 

【函館へ】

リレー・フォー・ライフ・ジャパン」の活動を通じて知り合った、サバイバー(患者)の北海道伊達市の金子さんという女性の方から「函館クリスマスファンタジーって知っていますか?あの大きなツリーの下で歌う松尾さんが見たいです。」という内容のメールが届いたことがきっかけで、2009年に「函館クリスマスファンタジー」に出演しました。縁もゆかりもない地域の大きなイベントでしたが、事情を知った地元の青年会議所の方々の力を借りて、亡くなる数ヶ月前の金子さんに歌を届けることができました。マイナス3℃の野外ライブも今となれば貴重な思い出です。

f:id:omitaka:20210607164957j:plain

 

【千葉県がんセンター】

やはり「リレー・フォー・ライフ・ジャパン」の活動を通じて知り合った千葉県がんセンターのセンター長(当時)である中川原章先生の依頼で2012年に千葉県がんセンターのテーマソング「愛言葉」を作詞作曲しました。中川原先生は佐賀県出身の医師。同じ九州出身ということもあり可愛がっていただきました。余談ですが、在宅医療の第一人者である、福岡市にのさかクリニック院長・二ノ坂保喜先生はなんと長崎市の同じ中学校出身。そのご縁でにのさかクリニックでのイベントに何度となくお招きいただきました。九州という土地柄なのか、地元の結びつきにはより深い縁を感じてしまいます。

 

https://www.omitaka.com/images/media/20120612chibanippo.jpg

 

【楽曲4】愛言葉

youtu.be

 

【むすび】

がん患者支援活動を通じて多くの闘病中の方と知り合いました。「出逢いがあれば別れがある」ということは昔から知っていたのですが、がん患者支援活動の世界ではそれはとてもリアルで、これまでに「活動をしていなければ流さなかったはず」の実に多くの涙を流しました。ご本人の希望でお葬式で歌うということも2度経験しました。

歌うたいとしてあの涙した時の気持ちを忘れることなく、今を生きる人たちに「命」を伝えて行くことが僕の使命であると思っています。

また、自死によって高校生の一人娘を亡くした男性と出逢い作った「ビューティフルライフ」という歌を通じて、同じく娘を持つ一人の父親シンガーとして、悩める中高生に向けたライブ活動を今後広く展開して行くことができればと考えています。

 

【楽曲5】ビューティフルライフ

youtu.be